10年位前に某レトロな喫茶店をお借りして、鉛筆デッサンによる小さな展覧会を開きました。知る人ぞ知る画廊を兼ねた喫茶店で、内装も家具も小物も本物のアンティーク、または手作りという拘りのお店。大正浪漫の香り漂うレトロな雰囲気。これは開催前日の写真です。
オーナーは油絵の画家さんで、月に1度絵の好きな方を集めてデッサン教室を開いてました。フランス語のシャンソンが流れる店内で、ミルクティーや紅茶をゆったりと飲みながら展示されているアンティーク人形や、お互いの顔を描いたりするのです。で、この時にオーナーの先生に「美術展をやってみないか」と声をかけられ「こういう事はぐうたらな自分では今後もやらないだろう」という理由から勢いで承知してしまったのでした^^;
正直いうときつかったです。急に決まったんで作品数を増やすのに追われました。時間がなかったので、デッサン教室で描いたデッサンを、そのまま使って多少アレンジしたり、先生に手を加えて頂いたりして乗り切りました。その時「私は、絵は本当好きな時に好きなように、描きたい物を描くスタイルがあってるんだなあ」と実感。ここには特に絵の上手な男の子と、写真撮るのが上手い男の子という仲良いコンビの生徒さんがおりまして(どちらも非常に若い)私はこの二人の作品に対する厳しい目線とひたむきさ、才能を観た瞬間「こういう人がプロになるべき人なんだ」と住む世界の違いを悟りました。それまで絵を遊びにするか仕事として目指すか迷ってた自分が、この展覧会と彼らの作品を機にさっぱりとふっきれて、以後絵を「趣味」として選択。それまで感じてた力不足にもがくこともなく、のびのび楽しめるようになれました。やがて徐々に自分の絵のスタイルが見えてくると、店の雰囲気に無理に絵の方を合わせなければいけないような部分を感じるようになったのでデッサン教室をやめました。これも通過点としていい勉強になったと思っています。
今でも趣向性のひとつとして大正浪漫は大好きです。引っ越してお店は遠くになりましたが、また行きたい。この写真は自分で撮った物で最初からモノクロです。当時は特にモノクロに凝っていたのでした。
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